【第1回 おせっかい講座が終了しました】
江東子育てネットワーク
今年度全6回のうち 第1回目のおせっかい講座を
講師 鈴木秀洋先生をお招きして終了しました。
2016年の構想から、
2017年の1年間続けてきた、子育てネットワークの勉強会、「子どもの安心と安全を守るために おせっかいネットワーク」
地域にどのように作っていくことができるのかを模索しながら、
第1回は日本大学 危機管理学部の 鈴木秀洋先生にお話をお伺いしました。
鈴木先生は、国の審議委員、児童相談所の立ち上げアドバイザー、川崎市の子どもの権利擁護委員、地域のNPO法人の理事長等、
行政法や児童福祉、DV、ジェンダーの問題などを多岐にわたり研究テーマ、ライフワークとして取り組んでおられます。
法律の専門家であり、児童福祉の世界にしっかり軸足を置かれる保育資格者でもあります。
6月3日(日)のお話からスタートした 「こうとうおせっかいネットワーク」
ネットワークをこれから丁寧に育んでいくための具体について学ぶ機会とさせていただきました。
先生のお話をご紹介させていただきます。
●法律のバックグランドを持つ行政職員として
行政職員として、法務担当、制度設計、条例を作る、ことなど主にやっていた。区長の秘書、マネジメントなども経験。
東日本大震災の危機管理対応、男女平等、子ども家庭支援センターの課長などを担当した。
行政が大好き、とてもやりがいがあった。住民の方々と直に接しながら条例を作る、公務員を育てるということをとても大切にしてきた。
現在は、大学での教育者として行政法など法律を教えることと、児童虐待、DV、ジェンダーの問題を研究テーマ、ライフワークにしている。
●変革 児童福祉法改正の大きな変更点
「3つプラス1」 日本の児童福祉の大きな改革
1. 基礎自治体 に地域のアウトリーチ、ネットワーク、拠点を。
2. 切れ目のない支援
3. 18歳で切らない地域の支え
そして、プラス1 子どもが権利の「主体」である ということが明記された。
今までは、世界の動きについて様々な場面で直接触れられずに議論されることが多く見受けられたが、ようやく法律に明記された。国際的な動きと日本の動きが同じである、ということを明らかにした。大きく変革していく。
●ネットワークが地域を支える
「地域」で関わることで親子を支える。
高齢者医療も在宅介護をアウトリーチに入れた。子育て支援にもそれが必要なのではないか、という考えから始まっている。
児童相談所を作ることで、児童相談所のことだけに注目してしまうことを危惧している。
切れ目のない支援、地域の中での見守り、居場所、子ども食堂など、そうした地域の動き、土台をしっかりすることが大切。
●子ども虐待から子どもを守るネットワーク
〜 通告義務は支援の入り口である 〜
子ども虐待を発見した人=私たち一人一人
子どもを守るためのネットワークを作ろう という動きである。
要保護児童対策協議会について、
要対協の中でも、ネットワークは地域で作ろう、ということになっている。地域の中でどんな人、組織をそこに入れるのかは地域で決めることができる。
メンバーになれば守秘義務を遵守することはいうまでもなく重要だが、子どもを守るために地域の様々な組織がつながることで、家庭のモザイク(地図)が見えてくる。そこから、その家庭をどう支援をするかが見えてくる。
「通告」は家庭の密告、犯罪者として裁くことではない、
「通告」とは、子どもを権利主体にした「児童福祉」の枠組み。困った人に手を差し伸べるということ。その入り口である。
権力によって、家族を責めるために「通告しあう」ということではない。
「通告」することによって「あのお家は困っているみたい、誰がいこうか?私がいこうか?」という地域の手を差し伸べること。そうした繋がりがネットワークである。
それはまた、不用意に困難を抱える子に介入する、ということでもない。
〜 地道な信頼関係の積み上げ、魔法はない〜
だからこそ、ネットワークは細かく広げていく必要がある。
ネットワークの構築に魔法はない、地道な信頼関係の積み上げである。
●ネットワークを広げるときの視点
互いのバックグラウンドがどんなものか、 “ 強固に” 意見交換をする機会が必要になる。
子どもの性的指向・性自認に関しては、関わる大人側に正しい知識が求められる。
それぞれのネットワーク参加者がどういう思いでここまでやってきているのかお互いが分かった上で固めたネットワークが必要になる。
「おせっかいネットワーク」って、誰でもいいから、誰でも入ってきて、というのとはちょっと違う。
かたや、排除する力が強くなりすぎてはネットワークとは離れてしまう、地域地域での作り方が違うということだと思う。「私たちの地域ではどんなネットワークを作るのか」を互いに話し合うことが大切。
●文京区で作ってきた おせっかいネットワーク
“おせっかい” という言葉がとても大切。この言葉でなければ意味がない。
文京区の医療ネットワーク構築。子どもの情報は医療から入ってくるところがとても大きい。相手の立場や構築のための難しさを確認しながらどのように連携が図れるのか考えた。相手の立場を理解することがとても重要。
高齢者のネットワークとの連携についてもチャレンジした、なかなか一緒に構築していくことは行政側としては難しい、地域に暮らす人にとっては同じなのに。
おせっかいネットワーク、民間をどう繋げるのかをまた考えた。
ワンストップと簡単に言うけれど、物理的なことではなく、
ネットワークが一緒で「情報を振り分けできる」人がいること、制度化することがとても重要。
実際に制度化することは難しいと思う、しかし、そうしたシステムを作ることは行政側にとっては非常に重要だと思う。
「どこにかけたらいいんだろう・・」と住民の人はわからないことがたくさんあると思う。自分も一人の市民としては同じ経験をしている。
●ネットワークが作られなかったことで失われた命。
ガスや水道、新聞、近所の情報。
その家庭を見ていた小さな気づきがあった。そうした情報がが行政に入っていれば行政情報と突き合わせ、その家庭の見立てができる。
見立てをするための情報の集約、ネットワークをつなげることがとても大事。
●文京区のおせっかいネットワーク
システムを作ったがそれがシステムを入れるだけで機能するかどうかはわからない。システムを作ったら完成、終わりではない。
それをどう繋げていくのか、継続させていくのか、が重要である。
どんどん担当者は変わっていく、継続的に運用されているのかチェックをかけていくことが重要だと思っている。
●行政にはできない民間の支援、民間が作るネットワーク
「さとにきたらええやん」
子どもの居場所、夜中まで子どもを預かる
親にも本気で付き合える関係
行政にはできないサポート
「こども食堂」
「ここに来ると貧困だと思われる」など、ラベリングについても課題になってはいるが・・。
どうやったら困っている人が来てくれるかという相談もよく受けたし、話題になる。
しばらく来なくてもあそこは空いているんだ、と思ってもらえることが大事なのではないか。経営を考えていない、と言われてしまえばそうなのだけど、
小さく作ってはじめていく、でもいいのかな、と思う。
●「緩やかなグラデーション」「斜めの関係(親でもない、先生でもない)」をどう作っていけるのか
●子ども虐待による死亡事例を防ぐためのポイント
「産後うつ、マタニティブルー」 支えるためのネットワーク
●「凸凹の確認」
民間と行政が向き合う時に大切なこと。
自分のところの強みと弱みを理解しておくことがとても大切。そこから生まれるもの、波及する効果、互いで成し遂げられることの大きさ。
民間と行政が連携することによる学び 一緒に政策を実現する
●行政と民間が連携すること ネットワークを作る時に大切なこと
専門性は必要、でも専門性だけでは決してない。
「子育てをずっとやって来ました」もちろんそれだけでもいい。
でも、そこで専門的なことを知っているから、知ったからこそ、手を差し伸べられる、声をかけられる、見立てることができる。と言うことはある。
障害のある子への関わり方、里親さんへの対応、暮らしのサポートについて、子どもの権利を知ることにより子供への見方が変わること、など。
お互いが互いを理解しあうこと。
ぶつかることも大切、ぶつかって理解し合えることもある。
そして、互いを尊重しあって理解することも大切。
「自分ができることを自分のできる範囲で続けること」
他にもたくさんのご質問などにもご回答いただきました。
次回、また、いただいた質問等についても整理してご報告したい、と思います。
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今後のおせっかい講座は
🍀6月17日(日)
通告する?声をかける?それって虐待??
子ども虐待対応啓発プログラムBEAMS Stage1
松戸市立病院小児科医長 小橋孝介先生
🍀7月8日(日)
地域の中で なかなか知られていない「社会的養護」の課題について
「つながる地域の子育て支援 社会的養護ってな〜に?」
大田区こども家庭支援センター 小島 美樹先生(弊団体 里親 秋山三郎)
おせっかい講座で繋がった私たちは 地域の中で何ができるのか、どんなことをやってみたい?一緒におしゃべりを楽しみ親睦を図る時間を設けます。
🍀7月22日(日) つながろうカフェ
*いずれも各回 10時から12時 場所は江東区立東川小学校ランチルームです。
*お申し込みはこちらまで。
https://kotokosodatenetwork.wixsite.com/home/osekkai
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